1on1コンシェルジュ

1on1のNGなやり方——データが示す「やってはいけない7つのパターン」

半数近くが「満足していない」という現実

1on1は確実に広まりました。パーソル総合研究所が3,000人(上司1,500名・部下1,500名)を対象に行った調査では、直近半年で1on1を経験した部下は55.7%。一方で、満足しているのは52.7%にとどまり、残る47.3%は「不満」または「どちらともいえない」と答えています。

図1|1on1への満足度(部下回答・n=1,500)

満足 52.7%
不満・どちらともいえない 47.3%
満足 52.7%
  • やや満足 30.2%
  • 満足 18.7%
  • 非常に満足 3.9%
不満・どちらともいえない 47.3%
  • どちらともいえない 32.4%
  • やや不満 6.2%
  • 非常に不満 4.7%
  • 不満 4.0%
出典:パーソル総合研究所「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」(2025年2月27日発表/調査実施2024年6月)。積極的に「満足」と言える層(満足+非常に満足)は22.6%で、最大の塊は「どちらともいえない」の32.4%です。

さらに、1on1に関する困りごととして「面談の効果が感じられない」を挙げた人は上司27.6%・部下29.7%。上司・部下ともに約3人に1人が、効果を感じられていません。

つまり、導入すれば効果が出るわけではないということです。ここでは、効果を打ち消してしまう代表的な7つのNGパターンを挙げます。

#NGパターン根拠となるデータ代わりにやること
1上司が話しすぎている部下が話す 6.8点 / 上司が話す 6.3点発話量を一度、実測する
2テーマを上司が決めている部下が設定 6.9点 / 上司が設定 6.4点「今日は何を話したいですか」から始める
3進捗確認・詰めの場になっている—(線引きの問題)進捗は業務MTGへ移す
4長くやれば良いと思っている高頻度×1時間以上 6.0点(最低)30分で切り上げ、次回に回す
5忙しさを理由にキャンセルする実施頻度は平均 月0.8回飛ばさず15分に短縮する
6弱み・できていないことばかり話す「弱み」は最も有意義さを感じにくいテーマ承認・強みを先に置く
7評価に結びつける/記録が漏れる心理的安全性がチーム効果性の第1要因評価面談と分け、守秘を約束する

成長度スコアはいずれも10点満点(最低2点)。経験学習の「内省的観察」「抽象的言語化」から合成された指標です(パーソル総合研究所・同調査)。

NG1:上司が話しすぎている(しかも自覚がない)

同調査で最も示唆的なのが、認識のズレです。

図2|「どちらが多く話しているか」——上司と部下で答えが違う

上司に聞くと
「部下のほうが多く話している」
部下の話す割合が高い 42.5%
私(上司)の話す割合が高い 36.2%
部下に聞くと
「上司のほうが多く話している」
上司の話す割合が高い 36.6%
私(部下)の話す割合が高い 31.4%
出典:パーソル総合研究所(同調査)。上司・部下それぞれn=1,500。同じ30分について、双方が「相手のほうが話している」と答えています。

そして実際の成長度を見ると、部下の話す割合が高い場合は6.8点、上司の話す割合が高い場合は6.3点と差が出ています。同報告書は、この節にこう見出しを付けています——「部下にとって1on1は上司の『講演会』であってはならない」

上司は「聴けている」と思い、部下は「聴かれていない」と感じている。この差が、そのまま成長度の差になる。

厄介なのは、上司側にほとんど自覚がないことです。良かれと思ってアドバイスを重ね、体感では「よく聴けた」と思っている。対策は感覚に頼らないこと。時間を計る、または録音・記録して自分の発話量を一度測る。これ以上に効く処方箋はありません。

NG2:テーマを上司が決めている

「今日は例の案件について話そうか」——この一言で、その30分は上司の時間になります。テーマの決定権は、1on1の主導権そのものです。

図3|運用のしかた別・部下の成長度(10点満点)

部下が話すテーマを設定6.9点
上司がテーマを設定6.4点
部下の話す割合が高い6.8点
上司の話す割合が高い6.3点
高頻度 × 30分以上1時間未満7.4点
高頻度 × 1時間以上6.0点
出典:パーソル総合研究所(同調査)。横軸は0〜10点スケール。「高頻度」は月2〜3回以上を指します。運用の細部が、そのままスコアの差になっています。

「今日は何を話したいですか」から始めるのが原則で、部下が困るようなら、事前に候補リストを渡しておけば済みます。テーマを渡すことと、放り出すことは違います。

NG3:進捗確認・詰めの場になっている

最も多い失敗がこれです。「あの件どうなった」「なぜ遅れている」が続けば、部下にとっては報告会であり、詰められる時間です。

※ ここは正確に書いておきます。進捗確認そのものが悪いわけではありません。同じ調査では、日頃から「上司が自分の業務進捗をマメに確認してくれている」と部下が感じることは、1on1を通じた部下の成長にプラスの影響を与えていました。問題は、確認すること自体ではなく、1on1の30分がそれだけで埋まることです。

扱う場問いの形扱うもの
業務ミーティング「あの件、どうなっていますか」案件・数字・締切・障害
1on1「その仕事を通して、あなたはどうでしたか」本人の経験・気づき・つまずき・次の一手

この線引きが曖昧なままでは、何回やっても質は上がりません。1on1で進捗に触れるのは、そこから本人の話に入るための入り口としてです。

NG4:長くやれば良いと思っている

意外に見落とされるのが、時間の取りすぎです。図3のとおり、頻度と1回あたりの時間を掛け合わせて成長度を見ると、最も低いスコア(6.0点)がついたのは「高頻度かつ1回1時間以上」のパターンでした。丁寧にやっているつもりが、最も効果が薄い形になっていたわけです。

長時間の対話は、上司の説教や雑談に流れやすく、双方の負担にもなります。「今日は時間があるから1時間じっくり」は、善意のNGです。30分で切り上げ、その分を次回に回す。頻度と時間の最適な組み合わせは なぜ「週1回」なのか——1on1の頻度をめぐる、データの答え で詳しく扱っています。

NG5:忙しさを理由にキャンセルする

前述の調査では、1on1の実施頻度は平均で月0.8回。困りごとの上位にも「上司が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい」が入っています(上司35.3%で第2位、部下26.3%で第3位)。

キャンセルの本当のコストは、30分が失われることではありません。「自分の優先順位は低い」というメッセージが伝わることです。準備していた部下ほど落胆します。どうしても動かせないなら、削るのではなく短縮する。15分でも実施したほうが、飛ばすよりはるかに良い結果になります。

NG6:弱み・できていないことばかり話す

ギャラップが約15,000人を調査した結果、社員が最も有意義さを感じにくい会話のテーマは「自分の弱み・できていないこと」でした。逆に有意義な会話の第1位は「最近の仕事への承認・感謝」です。

改善点を扱ってはいけないという話ではありません。承認と強みの土台があって初めて、指摘が「自分のための助言」として届く。順番の問題です。同調査では、上司との直近の会話が非常に有意義だったと答えた人はわずか16%でした。多くの上司が、この順番を逆にしています。

何をほめるかの設計は 「すごいね」が部下を伸ばさない理由——人を伸ばす“プロセス承認”の科学、伝え方の条件は “効く”フィードバックの条件 にまとめています。

NG7:評価に結びつける/記録が漏れる

1on1で話した内容が評価に反映される、あるいは他部署に漏れ伝わる。一度でもこれが起きれば、その後の1on1で本音が出ることは二度とありません。

Googleの「プロジェクト・アリストテレス」が示したとおり、チームの効果性に最も強く関わる要素は心理的安全性です(→ フィードバックが怖い職場は、なぜ伸びないのか)。評価面談と1on1は明確に分ける。守秘の範囲を最初に約束し、守る。この土台がなければ、どんな質問技術も機能しません。

パーソル総研の調査でも、「努力しても、結果を出さないと評価されない」という成果主義の組織風土は、1on1の満足度にマイナスの影響を与えていました。1on1の質は、その場のスキルだけでなく、周囲の評価の仕組みにも左右されるということです。

それでも、最も差が出たのは「上司が本音を話すか」

ここまで「上司は聴く側」という前提で書いてきましたが、同じ調査には一つ、印象的な結果があります。部下の成長度に最も大きな差をつけた要因は、上司が聴いたかどうかではありませんでした。

図4|「1on1で上司が本音を話してくれている」と部下が感じるか

そう思う7.2点
そう思わない5.2点
出典:パーソル総合研究所(同調査・部下回答n=1,500)。差は2.0点。本記事で扱った他のどの項目(発話割合0.5点差、テーマ設定0.5点差)よりも大きな差です。横軸は0〜10点スケール。

聴くことと、何も言わないことは違います。建前だけの相槌は、沈黙より伝わりません。部下に本音を求めるなら、上司の側も本音で応じる——「8割聴く」という原則の中身は、ここまで含めて成立します。

セルフチェック:あなたの1on1は大丈夫か

  • 話した割合は、部下のほうが多かったか
  • 今日のテーマは、部下が決めたか
  • 進捗確認以外の話題があったか
  • 30分以内に収まったか
  • 直近1か月で、キャンセルしていないか
  • 「良かった点」から始められたか
  • 部下が言いにくいことを一つでも口にしたか

3つ以上「いいえ」があるなら、その1on1は形骸化のサインです。

最後に:これは上司個人の問題ではない

調査で挙がった課題の上位には、「面談について学ぶ仕組みがない」が上司・部下双方から入っていました。

図5|1on1に関する困りごと(上位3項目)

面談について学ぶ仕組みがない
上司(第1位)35.4%
部下(第2位)28.3%
上司が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい
上司(第2位)35.3%
部下(第3位)26.3%
面談の効果が感じられない
上司(第3位)27.6%
部下(第1位)29.7%
出典:パーソル総合研究所(同調査)。横軸は0〜40%スケール。同報告書は「上司、部下ともに1on1について手探り状態のまま1on1が行われており、そのことに上司・部下が困っている」と結論づけています。

学ぶ機会の有無は、結果にも表れています。同調査では、傾聴スキルの研修経験がある部下の成長度は7.1点、研修経験も自己研鑽もない場合は6.5点でした(コーチングスキルでも同じ結果)。

1on1がうまくいかないのは、上司個人の人柄や熱意の問題ではなく、多くの場合は「やり方を学ぶ機会がないまま任されている」という組織側の設計の問題です。

裏を返せば、NGパターンを知り、避けるだけで結果は変わります。まずは次回の1on1で、話す割合とテーマの決定権——この2つだけを意識してみてください。

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よくある質問(FAQ)

1on1でやってはいけないことは何ですか?

代表的なNGは7つです。(1)上司が話しすぎている、(2)テーマを上司が決めている、(3)進捗確認・詰めの場になっている、(4)長くやれば良いと思っている、(5)忙しさを理由にキャンセルする、(6)弱み・できていないことばかり話す、(7)評価に結びつける・記録が漏れる。パーソル総合研究所の調査では、部下の話す割合が高いと部下の成長度は6.8点、上司の話す割合が高いと6.3点でした。同報告書は「部下にとって1on1は上司の『講演会』であってはならない」と表現しています。

上司は自分が話しすぎていることに気づけますか?

気づきにくいことがデータで示されています。パーソル総合研究所の調査では、上司側は「部下の話す割合が高い」42.5%・「自分(上司)の話す割合が高い」36.2%と答えた一方、部下側は「上司の話す割合が高い」36.6%・「自分(部下)の話す割合が高い」31.4%と答えており、どちらが多く話しているかの認識がずれています。対策は感覚に頼らず、時間を計るか記録して自分の発話量を一度測ることです。

1on1で進捗確認をしてはいけないのですか?

進捗確認そのものが悪いわけではありません。同じ調査では、日頃から上司が業務進捗をマメに確認してくれていると部下が感じることは、部下の成長にプラスの影響を与えていました。問題は、1on1の30分がそれだけで埋まることです。進捗は業務ミーティングで扱い、1on1では「その仕事を通して、あなたはどうだったか」を扱う。この線引きが曖昧なままでは、何回やっても質は上がりません。

1on1がうまくいかないのは上司の能力の問題ですか?

多くの場合は組織側の設計の問題です。パーソル総合研究所の調査では、1on1に関する困りごとの上司第1位が「面談について学ぶ仕組みがない」35.4%(部下でも28.3%で第2位)でした。同調査では、傾聴スキルやコーチングスキルの研修経験がある部下の成長度は7.1点、研修経験も自己研鑽もない場合は6.5点で、学ぶ機会の有無が結果に表れています。

出典

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この記事の発行者

Life concierge(石川県金沢市)

多拠点・遠隔で働くスタッフの接客品質マネジメントを支援し、接客音声をAIが客観採点するサービス「1on1コンシェルジュ」を開発・運営しています。

作成方針:数値・制度・法令は公的統計や調査機関の一次資料に当たり、原文で照合したうえで記載しています。根拠は本文中に調査名・実施時期とあわせて示しています。下書きの作成にAIを利用し、公開前に運営者が内容を確認しています。

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