1on1コンシェルジュ

1on1は誰がやるのか、いつから始めるのか——始める前に決める4つのこと

1on1を導入すると決めたあと、実務で最初に詰まるのは制度設計ではありません。誰がやるのかいつから始めるのか、そしてどちらから切り出すのかという、ごく具体的な運用の問いです。ここを決めずに走らせると、上司ごとにやり方が割れ、数か月後には「やっている人とやっていない人がいる」状態になります。この記事では、調査データと厚生労働省の資料をもとに、この3つの問いに順に答えます。

この記事の結論
  • 1on1は直属の上司がやるのが基本。ただし評価者であることが障害になる場合は、メンター制度など別ルートを併設する。
  • 開始時期に正解はないが、関係ができてから始めるのではなく、関係をつくるために始める。
  • 切り出しは上司から。部下から「1on1をしてください」と言える職場は、そもそも1on1を必要としていない。

1on1は誰がやるのが基本なのか

1on1は直属の上司が行うのが基本です。理由は、日々の業務の文脈を共有しており、部下の仕事の割り振りや環境を実際に変えられる立場にあるからです。対話で課題が見つかっても、動かせる権限を持つ人でなければ、話は「聞いてもらっただけ」で終わります。

一方で、直属の上司であることは弱点にもなります。上司は評価者でもあるため、部下から見れば自分の処遇を決める人に弱みを見せる場になってしまうからです。ここは制度設計で意識的に打ち消す必要があります。

直属の上司以外がやってはいけないのか

禁止されているわけではありませんが、直属の上司以外が行う対話には、すでに別の名前が付いています。メンター制度です。

令和5年度の厚生労働省委託事業として作成されたメンター制度のマニュアルは、メンターについて「仕事の指示・命令を下し、評価を行う利害関係のある直属の上司や先輩ではなく、異なる職場の先輩社員(役員・管理職層レベルから数年先輩まで目的によって設定)」と記しています。同マニュアルはこれを「斜めからの支援」とも表現しています。

つまり「評価者ではない人が話を聞く」という設計は、1on1ではなくメンター制度の役割です。上司との1on1では話しにくいことがある、という課題に対しては、1on1の担当者を変えるのではなく、メンター制度を別に立てるほうが筋が通ります。両者は代替ではなく補完の関係にあります。

1on1はいつから始めるべきなのか

結論から言えば、関係ができてから始めるのではなく、関係をつくるために始めます。「まだお互いをよく知らないから、もう少し慣れてから」と後ろ倒しにすると、始めるきっかけは永遠に来ません。

新任のマネージャーや異動直後であれば、着任初週から始めて構いません。初回に話す内容が思いつかない場合は、業務の話をせず、この場を何のためにやるのかを説明することだけに使うのが実務的です。目的の共有そのものが、初回の議題になります。

導入企業は「ここ数年で一気に増えた」段階にある

リクルートマネジメントソリューションズが2022年1月に実施した「1on1ミーティング導入の実態調査」(全国主要都市圏の企業で人事系業務を担当する正社員936名が対象)によれば、1on1を導入している企業のうち60.5%が「3年以内に導入」と回答しています。

この数字が示すのは、1on1が長い運用実績を持つ制度ではなく、多くの会社が同時期に手探りで始めた新しい取り組みだということです。他社の完成された運用を探しても見つからないのは当然で、自社で決めるしかない部分が大きい領域だと考えたほうが現実的です。

会社の規模によって導入状況はどう違うのか

同じ調査では、従業員規模別の導入率に差が出ています。従業員3,000名以上の企業で75.7%、700〜2,999名で69.9%、100〜699名で57.7%でした。規模が大きいほど導入率が高い傾向です。

規模が大きい会社ほど上司と部下が日常的に接する機会が少なく、意図的に対話の場を設けないと関係が保てない——という説明は成り立ちます。ただしこの調査は人事担当者への調査であり、導入したと答えた企業で実際に全員に運用されているかどうかまでは分かりません。「制度がある」と「回っている」は別の話である点に注意が必要です。

規模が小さい会社にとって示唆的なのは、拠点が分かれているかどうかのほうが人数より効くという点です。従業員が50名でも、10拠点に分かれていれば、上司が部下の様子を日常的に見ることはできません。人数ではなく距離で判断するほうが実態に合います。

部下と上司、どちらから切り出すのか

上司から切り出します。 部下の側から「1on1の時間をください」と言える職場であれば、そもそも対話の不足という課題は起きていません。言い出しにくい関係だからこそ場が必要になっている以上、口火を切る役割は上司が負います。

日程調整も上司側が握るほうが確実です。部下に日程調整を任せると、忙しい時期に遠慮して自然消滅します。あらかじめカレンダーに固定枠を置き、必要がなければ短く切り上げる運用のほうが続きます。

始める前に決めておく4つのこと

1on1には公的な定義がありません。だからこそ、走り出す前に社内で次の4点を決めておく必要があります。決めていない項目は、上司ごとの解釈でばらけます。

決めること決めないとどうなるか実務上の落としどころ
目的は何か 進捗確認の場に戻る 部下の成長支援と明文化し、進捗報告は別の場で行う
誰がやるか 話しにくい相手が担当のまま放置される 直属の上司を基本とし、必要ならメンター制度を別に併設
評価とどう切り離すか 部下が本音を出さなくなる 1on1の内容を査定材料にしないと文書で明示する
話す内容を誰が決めるか 上司の聞きたいことだけを聞く場になる 議題は部下が決める。空なら上司が問いを渡す

多拠点・遠隔では「見えていないこと」が最初の壁になる

担当者と開始時期を決めても、拠点が分かれている場合はもうひとつ壁があります。上司が部下の仕事ぶりを見ていないという状態です。何が起きているか分からないまま対話を始めると、上司の質問は「調子はどう?」に寄り、部下の答えは「大丈夫です」に寄ります。

この場合に必要なのは、対話の技術ではなく事実の共有です。現場で実際にどんな接客をしているかが客観的なデータとして手元にあれば、初回から具体的な話ができます。1on1コンシェルジュは接客音声をAIが客観採点し、本人の自己評価との差分を可視化します。何を話すかに迷わずに済むのは、話す材料が先にあるからです。

よくある質問(FAQ)

1on1は直属の上司がやるべきですか?

基本は直属の上司です。日々の業務の文脈を共有しており、対話で見つかった課題に対して仕事の割り振りや環境を実際に変えられる立場にあるためです。ただし上司は評価者でもあるため、部下が本音を出しにくい構造があります。その課題に対しては担当者を変えるのではなく、評価者ではない第三者が支援するメンター制度を別に併設するのが一般的な設計です。

1on1はいつから始めればよいですか?

関係ができてから始めるのではなく、関係をつくるために始めます。新任のマネージャーや異動直後であれば着任初週から始めて構いません。初回に話す内容が思いつかない場合は、業務の話をせず、この場を何のためにやるのかを説明することだけに使えば十分です。目的の共有そのものが初回の議題になります。

1on1は上司と部下のどちらから切り出すのですか?

上司から切り出します。部下の側から1on1を依頼できる職場であれば、そもそも対話の不足という課題は起きていません。言い出しにくい関係だからこそ場が必要になっているため、口火を切る役割は上司が負います。日程調整も上司側が握り、カレンダーに固定枠を置くほうが続きます。

1on1を導入している企業はどれくらいありますか?

リクルートマネジメントソリューションズが2022年1月に実施した調査(人事系業務を担当する正社員936名が対象)では、従業員3,000名以上の企業で75.7%、700〜2,999名で69.9%、100〜699名で57.7%が導入していました。ただしこれは人事担当者への調査であり、導入したと答えた企業で実際に全員に運用されているかまでは分かりません。

1on1を始める前に決めておくべきことは何ですか?

目的は何か、誰がやるか、評価とどう切り離すか、話す内容を誰が決めるか、の4点です。1on1には公的な定義がないため、この4点を決めずに始めると上司ごとに解釈が割れ、部下から見て人によって別物の場になります。

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この記事の発行者

Life concierge(石川県金沢市)

多拠点・遠隔で働くスタッフの接客品質マネジメントを支援し、接客音声をAIが客観採点するサービス「1on1コンシェルジュ」を開発・運営しています。

作成方針:数値・制度・法令は公的統計や調査機関の一次資料に当たり、原文で照合したうえで記載しています。根拠は本文中に調査名・実施時期とあわせて示しています。下書きの作成にAIを利用し、公開前に運営者が内容を確認しています。

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