1on1・評価面談にAIをどう使うか——できること・できないことの線引き
面談の記録をAIに任せたい、要約させたい、いっそ評価の下書きまで出させたい——そう考えるマネージャーは増えています。ただし面談は、単なる業務のひとつではなく、部下の処遇に直結する情報を扱う場でもあります。どこまでAIに任せてよいのかは、便利かどうかではなく、公的な調査と法令が引いている線で判断したい。本記事では「使ってよい範囲」と「使ってはいけない範囲」を分けて整理します。なお本記事は、採用選考をAIが行う「AI面接」の話ではありません。すでに社内にいるメンバーとの1on1・評価面談が対象です。
この記事の結論
- 経団連の報告書(2026年4月14日公表)によれば、HR部門で人事評価にAIを活用している企業は75社中13社。9割以上の企業がAIを使っている中で、評価だけが突出して少ない
- AIに任せてよいのは準備・記録・振り返りの3つ。「AIの結果のみで不利益な処遇を決定しない」が公的ガイドラインの線
- 会話データをAIに渡す前に、学習利用の有無(個人情報保護法27条)・利用目的の特定(17条)・保管期間(22条)の3点を確認する
1on1・評価面談にAIはどこまで入っているのか
面談業務のうち、AIが実際に入っているのは「記録と整理」です。「評価の決定」にはほとんど入っていません。日本経済団体連合会(経団連)「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表)に収録された経団連調査「HR部門におけるAI・テクノロジー活用に関するアンケート」(2025年、回答75社、実施期間2025年11月27日〜12月15日)では、企業全体のAI活用状況は「複数の業務プロセスで広く活用」46%、「一部部署や一部業務プロセスに限定して活用」24%、「業務プロセスには組み込んでいないが、ChatGPT・Copilot等の生成AIツール利用を会社として許可」23%で、合計すると9割以上の企業がAIを活用していると回答しています。
ところが、その同じ調査でHR部門の内訳を見ると、様子が変わります。AIを活用している領域は採用25社、労務管理22社、エンゲージメントサーベイ21社、人材育成20社と続く一方で、人材配置13社、人事評価13社、報酬5社にとどまります(いずれもn=75社)。同報告書も「『人材配置』や『人事評価』、『報酬』で活用している企業はまだ少数といえる」と述べています。
| HR部門の領域 | AIを活用している企業数(n=75社) |
|---|---|
| 採用 | 25社 |
| 労務管理 | 22社 |
| エンゲージメントサーベイ | 21社 |
| 人材育成 | 20社 |
| 人材配置 | 13社 |
| 人事評価 | 13社 |
| 報酬 | 5社 |
出典:経団連「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表)所収の経団連調査「HR部門におけるAI・テクノロジー活用に関するアンケート」(2025年、n=75社)
1on1へのAI活用は、いま何に使われているのか
1on1に入っているAIの大半は議事録と内容整理です。前掲の経団連報告書によれば、人材育成の領域でAIを活用していると回答した20社の内訳は、「面談サポート(1on1内容整理、議事録生成等)」が14社で最も多く、次いで「研修・学習のレコメンド」11社、「従業員のスキル把握・ギャップ分析」4社となっています。つまり企業が実際にやっているのは、対話そのものをAIに任せることではなく、対話の前後にある事務作業をAIに寄せることです。
これは採用の「AI面接」の話ではない
AI面接(採用選考のAI)と、1on1・評価面談へのAI活用は別のものです。AI面接は選考の場面で応募者の書類や録画を分析して母集団を絞り込む用途で、前掲の経団連調査では採用領域でAIを活用する25社のうち15社が「応募者スクリーニング」を挙げています。一方、1on1・評価面談へのAI活用が扱うのは、すでに雇用関係にあるメンバーとの継続的な対話です。応募者との関係は選考が終われば切れますが、部下との関係は面談のあとも続きます。だからこそ、AIを入れたことが信頼にどう響くかを、採用より慎重に見る必要があります。
日本はそもそも「評価」へのAI導入が少ない
国際比較で見ても、日本は評価領域のAI導入が少ない側にあります。OECD「アルゴリズム管理に関する雇用者調査」(2025年、前掲の経団連報告書に引用)によれば、何らかのアルゴリズム管理ソフトウェア(AIを含む①指示ツール、②モニタリングツール、③評価ツールの3つ)を導入している企業の割合は、アメリカ90%、EU平均79%に対し、日本は40%にとどまります。同報告書は、とくに差が大きい「評価」分野について、米国はジョブ型雇用を前提とした人事制度のもとで評価基準が比較的明確であり、制度が長年運用されてきた結果、AI活用に必要なデータの蓄積が進んでいることを背景に挙げています。裏を返せば、評価基準とデータが揃っていない状態でAIだけ先に入れても機能しないということです。
1on1でAIに任せられることは何か——準備・記録・振り返り
AIに任せてよいのは事実を揃える作業であり、判断ではありません。具体的には、面談の準備・記録・振り返りの3つです。いずれも「マネージャーがやると時間がかかるが、やらないと面談の質が落ちる」作業で、しかも結果を人が確認できる性質を持っています。
準備:前回の続きを思い出す時間を消す
面談前にAIができるのは、前回の面談で出た話題、持ち越しになった宿題、その後の業務データの変化を並べて出すことです。マネージャーが5人、10人と部下を持つと、「前回この人と何を話したか」を思い出すだけで数分かかります。ここをAIに寄せると、面談の準備時間そのものが短くなり、頻度を上げる余力が生まれます。ただしAIが出すのは論点の候補であって、何を話すかを決めるのはマネージャーです。
記録:メモを取る手を空けて、相手を見る
文字起こしと要約は、いま最も導入が進んでいる用途です。効果は議事録が残ることよりも、マネージャーが手元のメモから顔を上げられることにあります。うつむいてメモを取っている相手には、人は本音を話しにくい。記録をAIに任せるのは、対話の質を上げるための手段だと考えるほうが実態に合います。なお録音する場合は、録音していること・何に使うことを、面談の前に本人へ伝えてください。
振り返り:前回との差分を見る
AIが得意なのは、複数回の面談を横に並べて変化を指摘することです。前回と比べて話題が業務の愚痴に偏っている、マネージャーの発話比率が8割を超えている、3回連続で同じ課題が持ち越されている——こうした差分は、人の記憶では拾いにくく、記録が揃っていれば機械的に出せます。これは評価ではなく、面談そのものの点検です。
| 面談の工程 | AIに任せられること | 人が担うこと |
|---|---|---|
| 準備 | 前回の論点・持ち越し事項・業務データの変化を並べる | 今回何を話すかを決める |
| 記録 | 文字起こし、要約、決定事項の抽出 | 録音の事前説明、記録の共有範囲の決定 |
| 振り返り | 前回との差分、話題の偏り、発話比率の可視化 | 差分の意味の解釈 |
| 評価の決定 | —(材料の整理まで) | 評価の決定と、その理由の説明 |
| フィードバック | — | 本人への伝達と合意形成 |
1on1・評価面談でAIに任せてはいけないことは何か
任せてはいけないのは3つです。①評価と処遇の決定、②感情や本音の判定、③本人に伝えていないモニタリング。この3つは「今の技術ではまだ精度が足りない」から避けるのではありません。面談の目的そのものを壊すから避けるのです。冒頭で見た「人事評価だけAI導入が13社と少ない」という数字は、企業が遅れているのではなく、この線を越えられないことに気づいた結果と読むほうが実態に近いと考えられます。
① 評価と処遇の決定をAIに任せない
経団連「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表)は、「HR部門でのAI活用はあくまで人間の意思決定のサポート機能として位置づけることが肝要」と明記しています。同報告書はAI活用のステップを「①AIが担当者のサポートや検討結果をアウトプット→②AIに何をさせるか決定し必要なデータを用意→③AIが判定した理由を把握したうえで、人間が責任をもって最終的に意思決定」と整理しており、最終判断を人が持つことを前提としています。
さらに同報告書は、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.1版)」(2025年)を踏まえたHR部門での具体的対応として、「採用・評価・配置など影響の大きい判断では、AIの結果のみで不利益な処遇を決定しない」を挙げています。これが実務上の線です。AIの出力は評価の根拠の一つにとどめ、決定と説明は人が担う。
なぜ「評価」だけAI導入が少ないのか——3つの理由
評価領域のAI導入が他の領域より少ないことには、少なくとも3つの構造的な理由があります。
- 説明責任が果たせなくなる:評価は、本人に理由を説明できて初めて機能します。「AIがそう出したから」は説明になりません。前掲の経団連報告書も、HR部門は「社員一人ひとりのキャリアや処遇など組織運営に大きな影響を与える情報を扱うことから、その判断には高い説明責任と信頼性が求められる」と述べています。
- そもそも評価に足るデータがない:同報告書はAI活用の課題として「人事データは定性的なものが多く、十分に整備されていないケースも多い」と指摘しています。整っていないデータで評価を出せば、それらしい体裁の当てずっぽうになります。
- 過去の偏りをそのまま引き継ぐ:同報告書の対応例には「過去の人事データを学習に用いる場合、偏りや不適切な判断が含まれていないか事前検証」「採用・評価AIにおいて、性別・年齢等の属性情報を入力・学習させない」「AIの出力結果を、属性別に定期的に確認し、不合理な差がないか検証」が挙げられています。過去の評価に偏りがあれば、AIはそれを再生産します。
② 感情や本音の判定をAIに任せない
1on1の目的は、本人が自分の状態を自分の言葉にできることにあります。AIが先に「この人は不満を抱えている」と判定してしまうと、面談は本人の言葉を聞く場ではなく、AIの仮説を確認する場になります。マネージャーは仮説に合う発言を拾い、合わない発言を聞き流す。これは面談の質を上げるどころか、確認作業に変えてしまう変化です。
法令面でも注意点があります。心身の健康状態に関する情報は要配慮個人情報にあたり得るため、その取得には原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(個人情報保護法20条2項)。声のトーンからメンタルの状態を推定するような機能を使う場合、それが何を取得していることになるのかを事前に整理しておく必要があります。
③ 本人に伝えていないモニタリングをしない
前掲の経団連報告書は、AIを定着させる条件として「現場の理解を得ること」を挙げ、「特に『モニタリング』『評価』『予測(活躍予測・離職予測)』にAI活用を検討している場合、不当な扱いや権力の行使と受け取られる可能性もある」と明記しています。離職予測は、本人に伝えずに運用した時点で、面談の信頼を壊します。「あの面談は自分を見張るためのものだった」と受け取られれば、そこから先、本音は出てきません。
離職の予兆をデータで掴むこと自体は有効です。ただしそれは「先回りして引き止めるための監視」ではなく、「面談で確認すべき論点を落とさないためのチェック」として、本人に説明できる形で運用する。この違いは運用ルールの書き方に表れます。
面談の会話データをAIに渡す前に確認すべきことは何か
確認すべきは3点です。①そのAIが会話を学習に使わないか、②何のために分析するかを特定して本人に伝えたか、③どこに、いつまで残るか。面談の会話は、特定の個人を識別できる情報を含む個人データです。ツールの機能表よりも先に、この3点を確認してください。
① そのAIは会話を学習に使わないか(個人情報保護法27条)
外部のAIサービスに面談の会話を処理させる場合、個人情報保護法27条1項は、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定めています。もう一つの整理が「委託」です。同条5項1号は、「利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合」、その提供先は第三者に該当しないと定めています。委託として運用するなら、委託先の監督義務が生じ、委託した目的の範囲を超えた利用——とくにAI事業者側の機械学習への利用——を防止する必要があります(三浦法律事務所の解説による)。
実務では、契約書の条項と管理画面の設定の両方を見てください。前掲の経団連報告書も、プライバシー保護の対応例として「AIサービス提供者によるデータの保存・二次利用の有無を事前に確認」を挙げています。
② 何のために分析するかを特定して伝えたか(17条・18条)
個人情報保護法17条1項は、個人情報を取り扱うにあたって利用目的をできる限り特定しなければならないと定めています。三浦法律事務所の解説は、プロファイリング(分析による人物評価)を行う場合には「分析処理を行うことを含めて、利用目的を特定する必要がある」という個人情報保護委員会の見解を紹介しています。つまり「人事管理のため」では足りず、「面談内容をAIで分析し、育成計画の立案に用いる」というところまで書く必要があります。
注意が必要なのは、すでに別の目的で取得していた録音を、あとからAI分析に回すケースです。17条2項は、利用目的の変更は「変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲」を超えて行ってはならないと定め、18条1項は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないと定めています。防犯目的で録っていた記録を人物評価に転用する、といった使い方は成り立ちません。
③ どこに、いつまで残るか(22条)
保管先、アクセスできる人の範囲、保存期間の3つを決めてください。個人情報保護法22条は、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、「利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない」と定めています(努力義務)。面談の音声は、文字起こしと分析が終われば原本を持ち続ける理由は薄くなります。持ち続けるほど、漏えい時の被害と本人の不安は大きくなります。保存期間をあらかじめ決めて、自動で消える仕組みにしておくのが実務的です。
あわせて、前掲の経団連報告書が挙げる「AIに入力する人事データは必要最小限にする」「要配慮個人情報は入力しない」「HR部門で利用するAIツールを会社指定のものに限定」も、そのまま運用ルールに落とせます。マネージャーが個人の判断で無料の生成AIツールに面談メモを貼り付ける、という状態を放置しないことが出発点です。
AIを1on1に導入するなら、どの順番で広げるべきか
記録 → 振り返り → 準備の順です。そして評価の決定には広げません。前掲の経団連報告書は、現場に定着させる要件として「小さくはじめること」を挙げ、「定型的な業務で、効果を確認しやすい業務からAIの活用をはじめる」ことを推奨しています。面談業務で最も定型的で、最も効果が確認しやすいのは記録です。
段階1:記録だけを自動化する(1〜2か月)
文字起こしと要約に限定し、出力は本人にも見せます。ここで確認するのは精度ではなく、「記録を共有しても面談の空気が変わらないか」です。話しにくくなったという声が出たら、共有範囲を狭めるか、記録する項目を絞ります。この段階で信頼が壊れると、その後は何を入れても定着しません。
段階2:振り返りを足す(3〜4か月目)
前回との差分、持ち越しの積み残し、話題の偏りを出します。見る対象は部下ではなく面談そのものです。マネージャーが話しすぎていないか、同じ課題が何回持ち越されているか。ここまでは評価と無関係なので、抵抗が出にくい領域です。
段階3:準備を足す(5か月目以降)
次回の論点候補をAIに下書きさせます。ここで初めて、面談の準備時間が目に見えて減ります。ただし出てきた論点をそのまま読み上げるのではなく、マネージャーが取捨選択する運用を崩さないでください。
広げない領域を、先に文書で決めておく
導入前に一行だけ決めて共有してください。「AIの出力は面談の材料であって、評価そのものではない」。口頭ではなく文書にするのは、担当者が変わっても線が動かないようにするためです。あわせて「AIのスコアだけを理由に処遇を変えない」「離職予測の結果を本人に隠して使わない」を明記しておくと、現場の不安はかなり減ります。
多拠点・遠隔の1on1では、AIの役割はどう変わるか
同じ拠点にいるマネージャーにとってAIは時短の道具ですが、離れた拠点のマネージャーにとっては事実を揃える手段になります。役割が変わります。同じ場所にいれば、面談の前に本人の様子を見ておけます。声のかけ方、お客様への対応、他のスタッフとのやり取り。面談はその観察を確認する場になるので、材料は最初から手元にあります。
離れているとこれができません。結果、面談は「最近どう?」から始まり、本人の自己申告だけで進みます。本人が「うまくやれています」と言えば、それ以上の材料がない。遠隔の面談が浅くなるのは、マネージャーの技量の問題ではなく、観察の穴の問題です。AIが埋めるのはこの穴です。
ただし埋めるのは事実であって、評価ではありません。1on1コンシェルジュは、現場の接客音声をAIが採点し、自己評価とのギャップやスコアの推移を面談の材料として出します。目的は、マネージャーと本人が同じ事実を見た状態で話し始められるようにすることで、評価そのものを機械が決めることではありません。会話をAIで採点・分析するツールにはいくつかのタイプがあり、何を評価したいかで選ぶべきものが変わります。その整理は接客・営業トークをAI採点するツールの選び方で解説しています。
よくある質問(FAQ)
1on1の会話をAIに文字起こしさせても問題ありませんか?
会話の記録・要約にAIを使うこと自体は広く行われています。経団連「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表)によれば、人材育成の領域でAIを活用する20社のうち14社が「面談サポート(1on1内容整理、議事録生成等)」を挙げており、この用途が最も多くなっています。ただし面談の会話は個人データにあたるため、外部のAIサービスに処理させる場合は本人の同意(個人情報保護法27条1項)または委託(同条5項1号)のいずれかで整理し、会話がAI事業者の学習に使われないことを確認したうえで、録音することを本人に事前に伝えてください。
AIに人事評価の点数をつけさせてもよいのでしょうか?
評価の材料をAIに整理させることと、評価そのものをAIに決めさせることは別です。経団連「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表)は、HR部門でのAI活用を「あくまで人間の意思決定のサポート機能」と位置づけ、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.1版)」を踏まえた対応例として「採用・評価・配置など影響の大きい判断では、AIの結果のみで不利益な処遇を決定しない」を挙げています。AIの出力は根拠の一つにとどめ、最終的な判断と本人への説明は人が担ってください。
AI面接(採用選考のAI)と、1on1へのAI活用は同じものですか?
別のものです。AI面接は採用選考の場面で応募者の書類や録画を分析して選考を効率化する用途で、経団連調査(2025年・n=75社)では採用領域でAIを活用する25社のうち15社が「応募者スクリーニング」を挙げています。一方、1on1・評価面談へのAI活用は、すでに雇用関係にあるメンバーとの継続的な対話が対象で、扱うのは日々の業務記録や面談履歴です。目的も、扱うデータも、本人への説明の仕方も異なるため、AI面接の導入事例をそのまま1on1に持ち込むことはできません。
面談の録音をAIに分析させるとき、本人の同意は必要ですか?
取得時に特定した利用目的の範囲内かどうかで変わります。個人情報保護法17条1項は利用目的をできる限り特定することを求めており、AIで分析するのであれば「分析処理を行うこと」を含めて特定しておく必要があるとされています(個人情報保護委員会の見解。三浦法律事務所の解説による)。すでに別の目的で取得した録音を後からAI分析に回す場合、17条2項は利用目的の変更を「変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲」に限り、18条1項は特定された利用目的の達成に必要な範囲を超える取扱いにあらかじめ本人の同意を求めています。範囲を超えるのであれば同意が必要です。
出典
- 一般社団法人 日本経済団体連合会「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表)/同報告書所収の経団連調査「HR部門におけるAI・テクノロジー活用に関するアンケート」(2025年、n=75社、実施期間2025年11月27日〜12月15日):https://www.keidanren.or.jp/policy/2026/016.pdf
- OECD「アルゴリズム管理に関する雇用者調査」(2025年、上記報告書に引用)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.1版)」(2025年、上記報告書に引用)
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)17条・18条・20条・22条・27条:e-Gov法令検索
- 三浦法律事務所「採用・人事におけるAI活用と個人情報保護法」解説:https://note.com/miuraandpartners/n/n12e16390b0ad
※本記事は法令・公表資料をもとにした一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。実際の運用にあたっては、自社の顧問弁護士等にご確認ください。